摂食障害は、精神疾患の中でも直接的に命に関わることが多く、大変に危険なものです。
厚生労働省により難病にも指定されています。
思春期や青年期の女性に現れることが多いとされる摂食障害ですが、その原因は心にあります。
どのような心の人がこれを発症しやすく、また摂食障害を引き起こさない為にはどのような事に気をつければよいのでしょうか?
この記事を読んで、あなたにもし摂食障害かも知れないという思いがあるようなら、すぐに専門機関を受診して治療を始めるようにしてください。
ほんとに大変なことになりますよ。
摂食障害の種類を知りましょう
摂食障害はその症状によって大きく2つに分類され、その中でも人によって現れる症状が違う場合もあります。
過食症と拒食症にわけられるのですが、この2つはあくまでも正常最低限体重を維持しているかどうかの違いであって、病気の原因としては同じもので状況が違うだけとされています。
BMIによる標準体重と比べて、80%以下である場合は拒食症と判断されます。(日本では)
とはいえ、私もBMIの標準体重と比べると80%以下の体重です。
アンガールズの田中さんなどもそうでしょう。(推測)
要は、この体重比較は1つの指針であって、これに加えてそれぞれの症状が出ているかどうか?で実際に摂食障害かどうかの診断がされます。
ヨガを極めた人とか全員拒食症になってしまいますし、力士もみんな過食症になってしまいますから、トータル的に判断する必要があります。
では、過食症・拒食症にはどのような具体的症状があるのでしょう?
過食症の代表的な症例
過食症は「食べることが止められない」状態です。
問題なのは「食べたくて食べているし、罪悪感もない」のか「食べたいかどうかではなく、食べなければいけない脅迫観念のようなものがあり、罪悪感があるか」どうかです。
前者は過食症でもなんでもなく、ただの食べるのが好きな人です。
一度きり(多分)の人生ですから、好きなだけ食べて好きなだけ太れば良いです。
後者は過食症の可能性が高いです。
食べ過ぎる自分に罪悪感を感じて自分を責めてしまい、絶食したり自ら喉に手を突っ込んで嘔吐したりという極端な行動をしてしまいます。
太ることに対する極端な恐怖心もこれを助長します。
これらの行動を繰り返していくと、胃酸の逆流による食道炎、歯が溶けたり欠けたりするなどの症状に加えて低カリウム血症などを引き起こすこともあります。
低カリウム血症の症状としては、
・多尿
・高血圧
・疲労
・筋力低下
・神経機能の低下
・不安
・イライラ
・抑うつ
・睡眠障害
・虚弱
・便秘
・乾燥肌
などがあり、これらが併発することで過食症の症状がより深刻になる可能性もあります。
また、深刻になった場合は呼吸器不全が起こる場合もあるので、命に関わる可能性があります。
拒食症の代表的な症例
拒食症の引き金は「自分がスゴく太っているのではないか」という思い込みが主です。
本当は全く問題なく、むしろ痩せている、スタイルが良い人ほど思い込みが強い傾向があります。
無理なダイエット、極端な食事制限などを行うので筋肉量が著しく低下し、低体温や無月経を筆頭に様々な症状が現れます。
しっかりと食事を行わないことでホルモンバランスが崩れてしまうので、抑うつや脅迫的思考などの感情面にも大きな被害をもたらします。
また、食べ物に対しての欲望を押さえ込んでいる反動から、食べ物に関する興味が強くなったりもします。
今まで全くそんなことなかったのに、急に料理の情報を集めだしたりし始めるなどです。
また、拒食症も過食症同様に、低カリウム血症を引き起こす可能性があるので、その症状も出てきます。
先述の通り、過食症も拒食症も同じ病気であり、出ている症状の状態が違うだけですから、体に現れる問題点は共通したものが多くなります。
どちらもキチンとした食事が摂れず、そのことをキッカケとしてホルモンバランス異常を引き起こし、身心に多大なダメージを与えます。
特定不能な摂食障害がある
過食症・拒食症は摂食障害として有名ですが、近年ではこれらの分類とは違う新たな摂食障害も認識されています。
以下の様な症状の場合は特定不能な摂食障害として診断されます。
むちゃ食い障害
過食をするが不適切な代償行為は行わない。摂食後に自己嫌悪、罪悪感、抑うつなどを呈する、
睡眠関連摂食障害
眠った状態であり、本人に意識がないにも関わらず、食べ物にありついて食べてしまう状態です。
たまにテレビなどで本人は寝ているのに冷蔵庫に行って、なんか食べてる様子が撮影されていたりしますが、あれは笑い話ではなく立派な摂食障害の症状の1つです。
夜間摂食症候群
夜になるとラーメン食べたいな。ぐらいは思う人も多いでしょう、その行き過ぎた形がこれです。
夕食後や寝る前、もしくは夜中に目が覚めてしまい、抑えきれないほどの食欲が湧いてしまってドカ食いをしてしまいます。
結果的に不眠や朝の食欲不振を招いてしまうことになります。
睡眠関連摂食障害とは違い、本人に食べているという意識はバッチリあります。
選択的摂食障害
好き嫌いは誰にでもあるものですが、選択的摂食障害はこの極地といえます。
ある食べ物しか口にできず、それ以外のモノ口にをすると体が拒絶反応を起こしてしまい、拒食症状を発症します。
摂食障害を起こしやすいタイプの人とは?
基本的にマジメで完璧主義な人がなりやすい傾向があります。
また男性よりも女性の方が圧倒的にその割合が高いのも特徴です。
厚生労働省のホームページでもそれを確認することができます。
ダイエットがキッカケになることが多く、「痩せられない自分」に対する罪悪感や「まだまだ理想に届いていないと思い込む」完璧主義が仇となります。
生来、適当な人であれば痩せられなくても気にしないですし、ある程度痩せたら満足しますから、摂食障害にはなりません。
ダイエットは明日から
と言っている人は、ほとんどならないでしょう。
また、環境要因として人間関係のストレスも挙げられます。
マジメで完璧主義の人はストレスを溜め込みやすいですから、より一層そのリスクを高めてしまいます。
摂食障害の治療法にはどんなものがあるのか?
摂食障害の治療法としては以下の4つが代表的なものとしてあります。
薬物療法もありますが、現在あまり推奨されていないようです。
行動療法
行動療法とは、行動を変えることで治療につなげようとするものです。
行動療法には以下の3つがあります。
自律訓練法
自己催眠の1種です。
やり方は
・椅子に座るか、仰向けの状態になる
・手足が重い、次に温かいと暗示をかける
・心臓の鼓動が規則正しく、呼吸が楽だと暗示をかける
というものです。
本当はもう少し複雑なのですが、これぐらいをとりあえずやってみて、効果が実感できればもっと掘り下げれば良いと思います。
自己暗示なので、掛からない人はどうやっても難しいですから。
なにもこれが全てではないですからね。
系統的脱感作法
なんかスゴ~く難しい感じがしますが、なんのことはありません。
不安に思うことに徐々に慣れていきましょう。
ただそれだけです。
PTSDの対処法として考案されたものですが、不安や恐怖を基にした精神疾患に対しては効果があります。
荒療治ですから、できれば専門家の指導の元に行ってください。
催眠療法
催眠療法に関してはコチラの記事をよろしくお願いします。
認知療法
認知療法は、成長する中で起きた認知の歪みを治しましょうという治療法です。
認知の歪みは、ザックリ説明すると「思い込み」です。
摂食障害においては、太っている、痩せなければという思い込みを治していくことになります。
家族療法
これは問題を個人だけでなく、家族全体のものとして改善していく方法です。
摂食障害の場合、問題の根源が家族にある場合(母親との関係性)も少なくないので、これを治すことで根本的な治療を目指していきます。
精神分析的心理療法
フロイトの精神分析を基にして、患者さんの問題に合わせて行う心理療法です。
フロイトの精神分析に関しては以下のリンクから、よろしくお願いします。
まとめ
精神分析医のヒルデ・ブルックは摂食障害を
「これは食欲の病気ではなく、人からどう見られるのかということに関連する自尊心の病理です」
と言ったそうです。
まさにその通りで、摂食障害はどうあれ「心の病気」です。
そのため、治療で一時的に症状が改善した場合も、心に潜む根本的な原因の部分を取り除かなければ、再発してしまいます。
本人はもちろんのこと、周囲も辛く、長い治療の道になりますが、治すことのできる病気ですから、諦めないでください。
なかなか良い臨床心理士や医者、特にこれに対して高い専門性を持っている人は近所にはいないと思います。
ですが、下手な人に当たると症状がより悪くなることがあるので、妥協せずに優秀な専門家を探してください。
合う、合わないがあるので、ここで特定の機関や人名を挙げることは避けておきます。
1人で悩まずに周囲の人もこの症状で困っている人がいたら手を貸してあげてください。
摂食障害は自分では治療をしたがらない傾向もありますから、より一層周囲の協力が必要です。
何度も書きますが、あくまでもこの記事の内容は私が調べたものですから、参考程度にして疑いがあればスグに専門機関を受診してください!
キチンと対処すれば治ります。
この記事が摂食障害で苦しんでいる人や周りの人に対して、ミジンコぐらいでも役に立つことを願っています。