境界性パーソナリティー障害チェック。増えているこの障害を知っておこう

心理学

境界性人格障害、もしくは境界性パーソナリティー障害と言われるものをご存知でしょうか?

精神疾患であるため、正確な数字を明記することは難しいですが、色々な研究からの推計は人口の2%程度と言われています。

あなたが境界性パーソナリティー障害であったり、もしくは知り合いなどにこれに困っている、自覚症状はないがそう見える人がいるかもしれません。

近年、増えてきていると言われているこれについて、知識を持っておきましょう。

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境界性パーソナリティー障害とはなんなのか?

気分の浮き沈み、人に接する態度などがビックリするほど変化する人がいませんか?
ジキルとハイドのような。

このような症状が境界性パーソナリティー障害です。

思春期や成人期の女性に多く見られますが、これは判断が難しい部分もあります。

女性は生理の関係(ホルモンバランス)がありますから、境界性パーソナリティー障害でなくとも気分の浮き沈みが激しいことはよくありますからね。

一応その判断基準がありますので、それを以下に記載しておきます。
チェックしてみましょう。

基本的には境界性パーソナリティー障害だから何か大事に直結するという話ではありません。

しかし、これを抱えている人は「見捨てられるのではないかという不安が強い」傾向があり、細かい相手の言動に過敏に反応してしまう傾向があります。

必要以上に相手に擦り寄ってご機嫌を伺ったり、自分に注目して欲しいあまり「自己破壊行為」を行う場合もあります。

「好きか嫌い」「敵か味方」の二者択一の考え方をしてしまうことも多く、そのためになかなか心が安らぎません。

またこれを引き金にして、うつ病や摂食障害を併発することもあります。

境界性パーソナリティー障害の判断基準

DSM(アメリカ精神医学会)が定めた指針ですが、以下の質問に対して5つ以上にあてはまる場合は境界性パーソナリティー障害が疑われます。

あくまでも1つの指針ですが、一度チェックしてみませんか?
また、自分では自覚症状がない場合もあります。

・常に見捨てられた感があり、人の気持ちをつなぎ止めようとする
・相手を褒めているかと思えば急に責めたり、対人関係が不安定
・アイデンティティ(自己同一性)が混乱している
・衝動的に自傷行為を繰り返す
・過食や自殺未遂を繰り返す
・極めて情緒不安定
・常に虚しい感じがする
・怒りをコントロールできない
・解離性症状が現れることがある

アイデンティティに関してはコチラを。

アイデンティティの意味を分かりやすく解説

解離性症状に関してはコチラを。

解離性障害を知っていますか?あなたも体験したことあるかも。

さて、どうでしょうか?
なかなか自己判断が難しい部分も多いとは思います。

アイデンティティの混乱や、虚しさ、情緒の安定具合などは、いったいどこを基準にどうなれば良くないのかはイマイチ分からないし、個人差もあります。

どうにも気になる場合は専門機関を受診してください。

こんな家庭・教育環境は注意が必要

境界性パーソナリティー障害の原因として重要視されているのは、家庭(教育)環境です。
以下の様な環境の場合、注意をした方が良いと言えます。

親自身も楽しみたい

本来親になるということは、優先順位を自分から子供に変えるということです。

しかし、昨今ではこの考え方が薄くなり、子供がいても優先順位は自分のままという親が増えています。

これはそれを推奨、許容してきた社会の風潮にも大いに問題があります。
要は強欲であって良いとしてきたわけです。

子供は欲しい、子供を作り育てることは、特殊な訓練を受けたものや選ばれたものでなくてもできる自己実現の方法です。

自尊心も大いに満たしてくれます。

しかし、本来これを得るためには、先述の自分の楽しみたい、好きにしたいという欲求や権利と引き換えにする必要があります。

自分の楽しみたい欲求や権利は全て今までどおり、でも子供による自尊心の満たしも欲しいという、なんとも強欲な考えがまかり通るようになったことは大きな問題です。

ファミレスでお喋りに夢中になり、走り回って迷惑をかけているガキ共に注意をしたり、管理しない親などはこの典型です。

この場合の子供の心理は遊びたい走りたいではなく、親に相手にされたい、親の愛を感じたいというものです。

これが満たされないために、自己表現として周囲に迷惑をかけているのです。
この様な状態は子供が親の愛を感じない、子供は自分が親にとって邪魔者なのではと感じてしまうことにつながります。

邪魔者なのではという感情が、将来的な境界性パーソナリティー障害の種として考えられます。

離婚している

一概に離婚がダメというわけではありません。

子供やパートナーに対して暴力(物理的、金銭的)を振るうような場合など、離婚したほうが誰の目にも状況改善が見込まれる場合などは離婚した方が良いでしょう。

しかしそうでない場合、よく聞く価値観の違いなどという馬鹿げた理由などで離婚する場合は注意が必要です。

価値観が違うなどという、最初から分かりきっていたことを理由に離婚するということは、先述の自分が楽しみたいから、引いては自分第一主義の可能性が高いと言えます。

そのような浅慮な考えの人間が結婚しているという枷が外れた場合、子供のことなど二の次、三の次となる場合も多く、子供への愛情がとても希薄なものになってしまいます。

愛情の希薄な環境で育つことも、将来的な境界性パーソナリティー障害の種として考えられます。

親自身に精神的な疾患がある

まぁ、これは容易に想像ができるでしょう。
精神疾患を患っている場合は、様々な要因から幼児虐待などにも繋がりやすくなってしまいます。

境界性パーソナリティー障害の大きな要因の1つに、幼児期のトラウマなどが挙げられる場合も多いので、虐待などを受けてしまえば将来的な種になる可能性は高いといえるでしょう。

虐待についてはコチラで詳細を確認できます。

虐待の種類は5つ。なぜ愛すべき子供を虐待してしまうのか

核家族化・地域社会の崩壊

昔であれば、例え親の愛情を十分に受けることができなくても、祖父母や地域社会などの第2、3の受け皿がありました。

コミュニケーションや集団での行動をしなくとも、生活を送ることができるようになってきた影響でもあり、どちらが良い悪いの話ではありません。

しかし、親の愛情が受けられなければ全て終了という状況になってしまっていることは事実です。

どんな状況であっても子供が逃げることができない、逃げ場がないことでトラウマや大きなストレスを抱え込んで成長してしまいます。

これも境界性パーソナリティー障害の種としては十分です。

子供に親の理想を押し付けている

能力が低く、自尊心が異常に高い人が親になるとこの問題が発生しやすい傾向があります。

自分のできなかったこと、成し遂げられなかったことを子供に押し付けて、子供の自由意思を尊重しないというパターンです。

自分もできなかったくせに、子供ができないと怒るというなんとも理不尽で無様な行為ですが、案外これを行っている親は多いものです。

勉強して、良い大学に行って、一流企業に就職しないとダメ。
みたいな化石のような考えを押し付けられる子供はたまったもんじゃないですね。

子供は親の操り人形ではありません。

社会生活を営む上での最低限のマナーや、礼節は手とり足とり親が教えるべきですが、人生や生き方に正解なんてないのに、さも自分の言うことが正解のように振舞う姿は滑稽でしかありません。

そんな理不尽と、親のプレッシャーによって子供の心にはしっかりと境界性パーソナリティー障害の種が植え付けられることになります。

子供に愛情や手間ではなく、モノを与え済ませる

子供が親に何かをせがむ時、それはそのモノが欲しい場合もありますが、それよりも愛情を欲している場合もあります。

にも関わらず、言われたとおりにモノだけ買い与えて終了としている親もいます。

この場合、本当に欲しかった愛情は得ることができず、本当はそれ程必要でもないモノばかりが増えていくことになります。

一定以上の年齢になれば、単純にモノが欲しい場合の方が圧倒的でしょうが、幼児期はモノを通して愛情を欲している場合の方が多いでしょう。

このケースの質の悪いところは、親自身は子供の願いを叶えてあげているのだから、自分は子供のことを考えて愛していると錯覚してしまうところにあります。

子供は全然求めていないモノを貰うだけ、親はその間違いに気づかず自己満足に浸るだけという、なんとも歪んだ形の愛情が形成されます。

このような歪んだ愛情もまた、境界性パーソナリティー障害の種となりえます。

現実社会での人間関係が希薄

これも核家族化と同様に、良いか悪いかの話ではないのですが、少なくとも今の社会のあり方では人間関係を築く必要があります。

人間関係の希薄化によって、自分は社会から必要とされていないのではないか?と感じる機会が増えてしまいます。

そうなると、不安感から「かまってちゃん」になってしまい、誰かに依存したり自傷行為を起こしたりするようになる可能性があります。

最近のSNSなどでのイイね。なんてのはこれを象徴している1つの具体例です。

現実社会である程度満たされている場合、SNSのイイねなんて煩わしくはあっても嬉しくはありません。

お金稼ぎや何か作品を紹介したりなどの別の意図がある場合は別ですよ、この場合はイイねが付けば嬉しいと感じます。

よくある、どこどこでランチ。みたいなクソどうでも良い投稿にどうでも良い人間が群がりイイねをしあって現実で満たすことのできない自尊心を満たしている。

傷の舐め合いですね。

どこまでも満たされない自己顕示欲や自尊心などの感情が、そのまま大きくなっていくと境界性パーソナリティー障害を十分に発症しえます。

まとめ

境界性パーソナリティー障害は、要は「満たされない心」が原因であると考えられます。

今までに挙げた例のように、子供の時に十分な愛情を親や周囲から得ることができなかったり、大人になっても自己を持つことができていなくて、心にスキマが空いていたりすると、これになってしまう可能性があるということです。

衝動的で、感情の起伏があまりに激しい人は境界性パーソナリティー障害の可能性があります。

自分では気づかないことも多いですから、知り合いやパートナーなどにこの傾向が見られるようでしたら、一度治療を試みてはいかがでしょう?

トラウマが原因であれば催眠療法なども含めて治療していくことも可能ですし、軽めの精神安定剤などを使いながらの治療なども考えられます。

あまりに激しい感情の起伏は、社会生活を送る上で面倒の種になりますから、できれば治療することをオススメしておきます。

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