fxでトレードをする際には、いくつかの注文方法があります。
それぞれに良い点と悪い点があるので、状況や自分のトレードスタイルに合わせて最適な注文方法を選びましょう。
この記事では
・それぞれの注文方法をどう使うべきか?
といった部分を中心に、解説していきます。
これを読めばfxの注文方法をしっかりと理解出来るはずです。
例として示しているレートは少々誇張しています。
実際に10円近くも米ドルと円で動くことは稀です。
fxの注文方法の種類と性質
fxの注文方法は大きく分けると6つ。
これは主要なfx業者であればどこでも使える注文方法です。
これらをベースにして、それぞれで条件を加えて独自のシステムを組んでトレードしている人も居ますが、この6つを使えば基本的に問題ありません。
成り行き注文
読んで字のごとく、成り行きに任せて注文する方法です。
よく成り行き注文の説明に「今の値段で約定させる」というものを見ますが、これは間違い。
成り行き注文はあくまでも「成り行き任せで値段はいくらでも良いから、約定させることを優先させてくれ」という注文方法。
例えば(円を売って米ドルを買う場合)
②1米ドル=100円のタイミングで成り行きで買い注文
③あなたより先に成り行きで1米ドル=100円の買い注文を出している人が居る
④その人の買いが優先されるので、米ドルの価値が上がる
⑤あなたの番では1米ドル=101円になっている
⑥成り行き注文なので、1米ドル=101円で約定する
という状況が往々にして起こります。
成り行き注文はスリッページを生む要因ですから、タイミングをしっかりと考えて使う必要がある注文方法です。
スリッページに関しては各fx会社でその許容範囲を決められるので、ある意味想定の範囲内ではありますが。
指値注文よりも優先して約定処理がされるので、いわゆる割込みが可能。 デメリット
約定が優先なので、タイミング次第では予期しない値段で成立してしまう。
上手な成り行き注文の使い方
基本的に成り行き注文は初心者の間はおすすめしません。
何度も説明している様に、予期しない値段で約定する可能性があるからです。
ですが、割込みが可能。
というのは大きな武器になります。
トレードをしていて、いわゆる「波」が生まれ勢いよく相場が動く時には成り行き注文は使えます。
波が生まれた時は指値注文で順番を待っていると間に合わないことも多いです。
ですから波に飛び込むために成り行き注文は有効に働きます。
ただ、この波に乗る。
しかも、後発組で波に乗るトレードはかなり危険です。
あらゆる面から考えて、単純な成り行き注文でのトレードは初心者が行うべきではありません。
指値注文と逆指値注文
指値注文と逆指値注文は「指定した値段以外では約定させない」注文方法です。
また指定する条件が「自分にとって有利な状況」である場合は指値注文。
逆に不利な状況の場合は「逆指値注文」です。
あなたが1米ドル=100円で買った場合
つまり円を売って米ドルを買う場合です
1米ドル=110円で売ればあなたが得(指値)
1米ドル=90円で売るとあなたは損(逆指値)
最初に売りから入る場合はこの逆になりますが、いきなり「売りから?」となると頭がこんがらがってしまうので、空売りに関しては別で説明します。
少し注意が必要なのが、指値は成り行きよりも注文の優先順位が低いので、割り込まれる可能性があるということ。
例えば
1米ドル=103円の時
①1米ドル=100円で買いたいから指値注文
②一瞬1米ドル=100円になった
③成り行きで大きな買いが入る
④割り込まれて価格があがり、1米ドル=102円に
⑤結局約定出来ず
という具合。
あまり頻繁に起こる事ではないですが、節目や狙い目の価格で待っている場合は起こる事案です。
別にその時点で損するわけじゃないですが、その後みるみる円安が進むと非常に悔しい思いをすることになるでしょう。
予期しない値段で約定することがないので、安心出来る デメリット
成り行きで割り込まれたり、順番待ちで上手く約定しない場合がある
上手な指値(逆指値)注文の使い方
指値は自分が予想した価格で約定させ、予定した価格でポジションを外す場合に有効です。
逆指値はロスカットに便利。
1米ドル=100円で購入した時(あなたは米ドルを保有)、1米ドル=110円で売り注文を出せば指値注文です。
これが約定すればあなたが勝つことになる有利な値段設定だからですね。
ですが、この時1米ドル=90円になる可能性もあります。
この時に1米ドル=90円で指値注文を出し、約定すればあなたの負けになるので逆指値です。
負けというと聞こえは悪いですが、そこから1米ドル=80円のようにグイグイ下がったとします。
すると、1米ドル=90円で逆指値を入れたことがストッパーになり、損失が限定されるわけです。
このように逆指値はロスカットのためのストッパーとして使われることが多い。
というか、個人的にはロスカット以外で使ったことがありません。
IFD(イフダン)注文
IFD注文は「2つの注文を同時に出せる」注文方法です。
指値のIFDは「利益確定」
これから米ドルの価値が高くなると踏んで、1米ドル=90円の時に1米ドル=100円で買って、110円になったら売る。
というトレード計画を立てた場合、通常の指値注文であれば2回注文を入れる必要があります。
まず1米ドル=100円で買うという注文。
それが約定したら110円で売るという注文ですね。
ちょっとメンドクサイと思いませんか?
IFDでは、この2つの注文を最初にまとめて出すことが可能です。
逆指値のIFDは「ロスカット」
指値の方の計画でトレードする時、米ドルの価格が上がらずに下がる可能性もあります。
この時100円で約定した後にロスカットとして90円になったら売る。
という逆指値を入れることも可能です。
ポジションを持ちたいタイミングと、損失の限定を一度の注文で完了することが出来ます。
IFDの上手な使い方
個人的にIFDは利益確定よりロスカット用に使うべきだと思います。
利益確定は損小利大の観点からも手動で行うべき。
ですがロスカットは機械的に行ってくれる方が良いので、最初にセットで注文を出す方が良いです。
ちなみにIFDは1つの決済方法しか使えません。
要はIFDの「指値」か「逆指値」のどちらかだけということ。
そうした面からも、ロスカットの方が大事なのでIFDは基本的に逆指値を使うことを推奨します。
また、IFDにおける1つ目の注文が約定しない場合、2つ目の注文が発動することはありません。
そもそも1つ目が約定しなければポジションが無いわけですから、当たり前っちゃ当たり前なんですけどね。
OCO(オーシーオー)注文
OCO(One Cancel Other)注文は
「同時に2つの注文を出して、どちらかが約定したら残った方の注文を自動的にキャンセルする」
という注文方法です。
2種類の注文は「指値」と「逆指値」を組み合わせて出すことが出来るので、利益確定と損切り注文を同時に出すことも出来ます。
OCOは基本的に、「既に持っているポジションに対して使う」ものです。
今持っているポジションの利益確定と損切の注文を同時に出す時に便利と考えましょう。
OCOの上手な使い方
個人的にOCOは初心者の人向けの注文方法だと思います。
最初の内は、というかfxで勝てない人の多くがそうですが、自分で立てたトレードシナリオやルールを簡単に破ってしまい勝ちです。
OCOを使えば利益確定も損切も同時に注文出来るので、ポジションを取った後はOCO注文だけ出して一切相場に関与しない。
というスタイルをおすすめします。
本当は損小利大を狙うべきですから、利益確定を同時に出すのは良くありません。
ですが初心者の間、fxで勝てるようになる(自分のスタイルを見つける)までは、OCOを使ってシステマティックにトレードを行い、ルール順守を徹底するのは良い考えです。
IFO注文
IFO注文は「IFD」と「OCO」を組み合わせた注文方法です。
最初に約定させたい値段を「IFD」で、その注文が約定した後の「利益確定」と「損切」を「OCO」を使って同時に注文しておくシステムになっています。
例えば、1米ドル110円の時、円を売ってドルを買う形からポジションを取るとしましょう。
この時、円高が進むと読み1米ドル100円になったら買いの注文を入れます。
自分に有利な状況での注文=指値
もし~になったら注文を執行=IFD
つまり「IFDの指値注文」でポジションを持つことになりますね。
で、IFDだけならこの後の利益確定や損切を新たに注文し直す必要があるのです。
しかし、IFOの場合は最初の注文が約定した後、自動的にOCOシステムで注文が出ます。
トレードの一連を全て最初に決め、その範囲内で全てのトレードを基本的には終了させることが出来るシステムと言えますね。
IFO注文の上手な使い方
IFDとOCOの良いところ取りなので、このIFO注文だけで堅実なトレードをすることが可能です。
しかも、最初に全ての注文を出してしまうので非常に楽。
相場に時間を取れない人には相当おすすめな注文方法ですね。
既にポジションを持っている場合はOCOですが、今から新たにポジションを持つ場合はIFOで全てが一発で終了します。
もっと便利な注文方法
ここまでが基本の注文方法6つ。
どこのfx業者でも使えるはずです。
これから紹介する注文方法は、現状どこでも使えるわけではありませんが、個人的に非常に便利な注文方法ですし、fx・株ともに私はこのやり方で勝ってきました。
それが「トレール注文」です。
トレール注文とは?
Trail(トレール)=引きずった跡、痕跡
の様な意味で使われる英語ですが、fxにおいては「追跡」の方がしっくりくる気がします。
例えば1米ドル=100円で約定させます。
で、損切の逆指値を90円に出します。
この後、相場が円安になり1米ドル=110円になった場合。
逆指値を105円に出せば、利益確定と損切を同時に行う事が出来ますね。
本来であれば、この105円での逆指値は自分で新たに注文を出す必要があるのですが、トレール注文はこれを自動で行ってくれます。
自分の注文に対して有利に相場が動いている間は、その動きに合わせて損切ラインを勝手に変更してくれるわけです。
相場が不利な動きをしている場合は、最初に決めた損切ラインが代わる事はありません。
連れ立って損切ラインがどんどん下がり、自動的に損失が膨らむなんて心配はナシ。
良い調子で思った方向に動いていても、いつ急激に反対方向に動くか分からないのが相場です。
先の例で考えると
せっかく1米ドル100円で買って、110円まで上がり喜んでいても、次の瞬間一気に90円まで下がって損切、負け。
なんてなことも十分に、というか良く起こります。
せっかく勝ちだったのに、逆指値が最初のままだった為に負けになるわけです。
トレール注文だと、この勝ちが負けになるという事態がほぼ防げます。
確かに、トレール注文で切り上げられた損切ラインに一瞬だけ値段が下がり、そこでポジションが決済された後に反転して上がることもあります。
しかし、これは言っても仕方のないこと。
結果論でしかありません。
「頭と尻尾はくれてやれ」
とはfxや株などの相場格言の1つですが、損小利大を思うあまりに、取れたはずの利益をみすみす失う事も出来るだけ避けなければなりません。
小さくても取れる利益を逃さない。
コツコツと積み上げていくことは取引コストの安いfxとの相性が非常に良いやり方です。
そうした面から見ても、トレール注文は非常に便利で初心者向け。
なのに利益もちゃんと狙える、まさに至れり尽くせりの注文方法と言えるでしょう。
私も現在は他の仕事をしている時、相場に時間を割けない時はトレール注文でコツコツ小さくトレードしています。
トレール注文のデメリット
トレール注文はレンジ相場ではその効果がイマイチです。
レンジ相場ってのは、あんまり値段が上下しない相場のこと。
活発に動き、それに合わせて自動で追従するからこそ、トレール注文の真価は発揮されます。
とは言え、そもそもレンジ相場に手を出すことはおすすめしません。
特に初心者の人には。
レンジ相場はいわゆる「凪」であると同時に、上か下かのどちらかに激しく動くための準備段階であることも少なくありません。
相場で多くの人が様子を見ている(迷っている)状態なので、どちらかに動き出す何かしらの指針が示されると、一気呵成に一方に動きます。
結構な高リスクの丁半博打になる可能性が高いので、慣れない内は手を出さない方が身のためです。
つまり、トレール注文は現状、大した穴の無い注文方法と言えますね。
まとめ
fxの注文方法の種類と、具体的な説明はここまで。
文章で読んだり、動画で見たりしても正直良く分からん場合も多いと思います。
個人的にはおすすめしませんが「デモトレード」で、実際にどんなもんか確認するのも良いでしょう。
それよりもっと身に付くのは「実際にfx口座を作り、自分のお金でやってみること」です。
自分のお金が掛かると、嫌でも真剣に取り組むので覚えるのが格段に早くなります。
逆に自分のお金を使っていないと、いつまで経っても大して身になりません。
これはfxに限らず、あらゆること、特に金融関係では顕著です。
初心者や、まだfxで思うように勝てない人は
・IFO注文
あたりの「システマティックに注文を執行してくれる方法」であり、「最初の注文でトレードの一連が全て完結する手法」を選んで、機械的にトレードを行いましょう。